2025-02-07

【蔵訪問記】十石 / 松山酒造

1月の第二週に3連休をいただき、京都の蔵訪問ならびにお酒の神様詣でに行ってまいりました。

2023年に十石というブランドを掲げ再出発した松山酒造さん。蔵は京都伏見に所在します。

かつては月桂冠グループの蔵として酒造りを行っておりましたが、パンデミックのあおりを受けて醸造休止を余儀なくされました。5,000石の製造量がゼロになったと伺った時はパンデミックのすさまじさに改めて身震いしました。

一年半の休蔵を経て、規模を縮小かつ特定名称酒に特化した、新しい京都の地酒を造るのコンセプトのもと、十石ブランドが立ち上がります。京都の酒造好適米、京都の酵母と麹菌のみを使っての酒造りという新たなスタートをきります。

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蔵の再建者として酒造りの指揮を執るのは、月桂冠で8回金賞を受賞した高垣杜氏。月桂冠時代は「金賞受賞」が大前提だったといい、そのプレッシャーは想像をはるかに超えるものだと想像します。

小仕込みに徹し、夏季以外仕込みができるように蔵内を改良。現場を熟知する杜氏のもと、徹底的に仕込みの動線に応じた設計がなされていました。また、酒蔵ツーリズムの流れを汲んで、麹室や洗米などの作業場が窓ガラスを通して見学できるようになっていました。

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かつての生産規模をうかがわせるタンク (現在は未使用) が並ぶさまからは、大手蔵のグループ会社であったことがうかがい知れます。

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蔵の裏門を開けると道路を挟んで向かいに玉乃光の蔵がありました。あぁ、これが伏見!!! と実感した瞬間でした。3月には玉乃光と合同での蔵開きが予定されています。

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そういえば、伏見では酒粕の需要がものすごく高いそうです。京都でうかがう飲食店でも粕汁が供されますし、お酒の文化が根付いた地域ならではなのかと感じました。

蔵訪問の翌日は、高垣杜氏と販売全般を担当されている酒井氏と一献。月桂冠時代は、手掛けるお酒がどんなパッケージになって流通されるのかも分からなかったが、十石では消費者に近い立ち位置でいろんな話がフィードバックされることが何よりも大きい、との杜氏の言葉が印象に残っています。上記の話を深堀りして伺いながら、新しい蔵の在り方、その先の未来に胸が高鳴りました。

現在蔵は少数精鋭で切り盛りしており、人手の少なさが課題とのこと。生産石数もいまは限られていますが、今後大きな伸びしろのある蔵だと改めて体感しました。皆様と一緒に十石をより盛り立てていきたい、と気持ちを新たにしました。

酒のサンワ / sanwasake